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エレクトーン(特にELシリーズ&STAGEA)を(色んな方向から)愛してやまない管理人が、エレクトーンや音楽について色々と語っております。
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某所に別名で投稿した「エレクトーン擬人化」の小説です。
※文字数オーバーになったため、何回かに分けて投稿します
 
個人の勝手なイメージで「もしもエレクトーンが人間の姿をしていたら…」と考えたものであり、ヤマハ本社様及び関係者様とは一切関係ございません。


大丈夫!という方は、追記よりお楽しみいただければ幸いです…

*****
  
 
 
ある“お兄ちゃん”と出会って――

 

 

「よしっ!結構弾けるようになったかも!」

 

少女はエレクトーンの譜面台を前に、笑みをこぼした。

 

彼女はとある音楽教室の生徒である。

ピアノを専攻しており、エレクトーンはアンサンブルの時くらいしか使わないが、自宅に中古のエレクトーンがあるため、アンサンブルのパート練習の時はそのエレクトーンを使っている。

 

その日は、数か月後に開かれるエレクトーンアンサンブルの発表会の曲のパートを練習していた。

まだ9才と幼い彼女はまだ楽譜をすぐに覚えられないため、譜面の自分のパートの段にドレミのメモがふってあった。

3段の楽譜がうまくアンサンブル用にパートが割りふられている。

この3段譜をながめていて、少女はふと思った。

 

(この楽譜…もしかしてエレクトーン用?…このエレクトーンでも弾けるのかな)

 

その時。

 

「エレクトーン、やってみるかい?」

 

後ろから男の声がした。

少女がびくっとして振り向くと、そこには黒いジャケットに茶色いズボンの青年が立っていた。

 

「お、お兄ちゃん…誰?」

 

少女が恐る恐る聞くと、青年は答えた。

 

「僕はEL-7070って呼んでくれてかまわないよ。そのエレクトーンの…まぁ、妖精みたいなものかな」

「え…妖精?…妖精さんには見えないけど…」

 

少女の言葉に、70は苦笑した。

 

「ほら、そのエレクトーンのパネルの下のほうにEL-70って書いてあるだろう?」

「本当だ。そういえばいつもおいてある説明書にもEL-70って書いてあったよ」

 

少女は本棚のほうをちらっと見たあと、早速70に質問した。

 

「ねぇお兄ちゃん!この楽譜ってエレクトーン用のものなの?EL-70でも弾けるの!?」

「もちろんだよ。どうやって弾くかは分かる?」

「うん。上の段が右手、真ん中の段が左手、下の段が足の鍵盤でしょ?先生が弾いてくれた参考演奏がそうだったよ」

 

少女は楽譜を見ながら答えた。

 

「そうそう。どう?できそう?」

 

問いかけられ、少女は恐る恐る手足を定位置においた。

そして、曲の一部分を弾きはじめた。

 

(え…何これ、すごく楽しい…!)

 

少女は今までにない楽しさを覚えた。

両手と左足を使って演奏するという行為がただただ楽しい、おもしろいと思えるのだ。

ペダル鍵盤のそれぞれの音の位置も見ないですぐに覚えてしまった。

 

「うんうん、いい感じだよ」

 

横で70が言うと、少女は演奏する手を止めて、ぱぁっと笑顔を輝かせた。

 

「すごい!!エレクトーンってこんなに楽しいんだ!!知らなかったよ!」

 

少女は夢中になって両手と足で演奏する練習をした。

ある程度練習したあと、一曲通して弾いてみたり、リズムにも合わせてみたりした。

少女が弾きおえると、70が言った。

 

「うまく弾けてたよ!」

 

しかし当の本人は、

 

「…うーん…」

 

複雑な表情を浮かべていた。

少し黙ったあと、少女はボタンを押しながら70に聞いた。

 

「ここの音が変なんだけど…なんで?」

「ああ、それは…僕じゃ音色が足りないからだと思う。たぶんこのデータは僕には入ってない音が含まれてるんじゃないかな」

「あともしかしてボタンが8個じゃ足りないんじゃない?」

「えっ?あ…そう言われるとそうかも。レジストナンバーが16まである…」

「…さっきEL-70でも弾けるって言ったよね?」

 

少女が疑わしげに言うと、70は少し慌てた様子で答えた。

 

「あっ…あ~、ごめん。僕、時々自分でも忘れちゃうんだ。自分にレジストナンバーが8までしかない事とかを」

 

70は面目ない、というような表情を浮かべた。

 

「何とかならないの?」

「僕ではこれしか再生できないんだ…」

 

70が答えると、少女はむくれた。

 

「なんでだよ~」

 

 

この事があってから、少女はエレクトーンに夢中になった。

毎日説明書を片手にパネルとにらめっこをし、エレクトーンの機能を少しずつ理解していった。

横では70が色々教えてくれる。

エレクトーン用の曲集を使っての練習も始めた。

もちろんEL-70用のデータが入っているものだ。

70との会話もたえなかった。

電源を入れれば、70はいつでも応援してくれる。

少女は70の機能不足に時々文句を言いながらも、このEL-70でエレクトーンの実力を身につけていった。



※2へ続きます…

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