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エレクトーン(特にELシリーズ&STAGEA)を(色んな方向から)愛してやまない管理人が、エレクトーンや音楽について色々と語っております。
某所に別名で投稿した「エレクトーン擬人化」の小説です。
※文字数オーバーになったため、何回かに分けて投稿します
 
個人の勝手なイメージで「もしもエレクトーンが人間の姿をしていたら…」と考えたものであり、ヤマハ本社様及び関係者様とは一切関係ございません。


大丈夫!という方は、追記よりお楽しみいただければ幸いです…

*****



ある日、レッスンから帰ってきた少女は防音室にかけ込み、レッスンバッグをソファに放り投げると、EL-70の電源を入れた。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!!」

 

必死になって70を呼ぶ。

70が慌てて出てきた。

 

「ど、どうしたの!?」

 

少女の顔は涙でぐしゃぐしゃだった。

 

「お、お兄ちゃ…っ、私、ピアノなんてもう弾きたくないよ!エっ、エレクトーンが、やりたいんだよぉっ…!!」

 

少女はそのまま泣きじゃくった。

70は突然の事におろおろしたが、とりあえずしゃがみ、彼女の目を見て、何も言わずに頭をなでた。

少女はこらえきれずに70の肩に飛びつき、わああと泣きさけんだ。

70は彼女の背中をぽんぽん、と優しくなでた。

 

少女はこの日のレッスンで気がついた。

ピアノを専攻していたのではなく“専攻させられていた”のだと。

ピアノのレッスンを受ける事が当たり前になっていて気づかなかったが、彼女はピアノを弾きたいと思って弾いた事など一度もなかったのだ。

どうして好きでもないピアノを習ってしかられなきゃいけないの?こんな事してるよりも、大好きなエレクトーンを習いたいよ――そう、彼女にとってエレクトーンは初めて自分からやりたいと思えた楽器なのだ。

ピアノでのレッスンも、もう限界まできたようだ。

 

やがて少女が少し落ち着いてくると、70が口を開いた。

 

「せっかく電源入れたんだし、何か好きな曲弾いたら?『舞踏会の美女』とか」

「それはレジストナンバーが足りないからいやだ」

「…そっか…」

 

少女は黙ってフロッピーディスクを探り、1つ持ってくると、EL-70本体に挿し込んだ。

ソングを選び、プレイボタンを押す。

カウントが鳴ると、少女は演奏を始めた。

悲しさ、悔しさ、そして怒り…今の自分の中にある気持ちを精いっぱいこめて、演奏にぶつけた。

やがて演奏が終わった。

すごく楽しいはずなのに、涙が止まらない。

 

「お兄ちゃん、どうだっ…、…!?」

 

言いかけた少女はびっくりして目を見開いた。

70も涙を流していたからだ。

 

「どっどうしてお兄ちゃんも泣いてるの!?」

「あっ…ああ、ごめん。今の演奏で、君の気持ちが痛いほど体に響いてきたから…」

 

70の言葉に、少女はまた涙腺が緩んだ。

しばらくの間、防音室に1人と1台の泣き声が静かに響いた。

 

次のレッスンから、彼女の専攻楽器はエレクトーンになった。



※3へ続きます…

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