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Second Expression ―目指せ、エレクトーンマニア―

エレクトーン(特にELシリーズ&STAGEA)を(色んな方向から)愛してやまない管理人が、エレクトーンや音楽について色々と語っております。

大きなエレクトーンと迷子の話

某所に別名で投稿した「エレクトーン擬人化」の小説です。

個人の勝手なイメージで「もしもエレクトーンが人間の姿をしていたら…」と考えたものであり、ヤマハ本社様及び関係者様とは一切関係ございません。


大丈夫!という方は、追記よりお楽しみいただければ幸いです…


*****



大きなエレクトーンと迷子の話


今日は子供達のエレクトーンアンサンブルの発表会だ。
この発表会には毎年幼児や小中学生など、大勢の子供達が参加している。
講師やスタッフ達が会場を忙しくかけまわる。
ステージには、10台ほどの大きなエレクトーンがずらりと並んでいる。
その機種の名は「EL-90」。

「…いよいよ当日か」

舞台袖のすみで1人の男がつぶやく。
――EL-90だ。
通りかかったスタッフが90に声をかけた。

「おっ、90。今回もいい音をたのむよ!」
「ああ。まかせておけ」

90はにっと笑みを浮かべ答えた。

本番が始まる数10分ほど前。
90が会場の通路を歩いていると、1人の子供が不安そうに周りを見ながら立っていた。
指定の色の衣装とリボンを身につけている事から、この発表会に出る生徒、それも小学生未満の子供である事がうかがえた。

「…どうした?」

90はしゃがんでその子供に声をかけた。

「えっ…あの…」

子供はおずおずとして90のほうを見た。

「怖がらなくていい」

90はそう言って微笑みかけた。
彼は、自分の目つきが鋭い事を自覚していた。

「お、お兄ちゃん、誰…?」
「俺はEL-90。今回の発表会で使われるエレクトーンだよ」
「え…EL…?エレクトーン…?」

子供はきょとんとした。
彼がエレクトーンの妖精のような存在であるという事は分かりにくいだろう。
90は続けた。

「まぁ、先生達の仲間とでも思ってくれればいいさ。お前達の教室にも、ステージの黒いエレクトーンが1台おいてあるだろ?」
「ああ、うん。先生がいつも弾いてるやつ…そういえば、教室でお兄ちゃんの事見た事あるかもしれない!お兄ちゃん、エレクトーンなんだ!」
「あはは、そうだよ」

子供も、何となく分かったらしい。
おそらく、90の黒いジャケットと茶色いズボンでだろう。

「…どうしたんだ、こんな所で1人で」

90が聞くと、子供ははっと思い出したように下を向き、口を開いた。

「…みんなとはぐれちゃった…さっきまでみんなと一緒にいたのに、気がついたらみんないなくて、先生もママも見つけられなくて…私、迷子になっちゃったのかな…ここ、どこ…?」

子供はまたあたりを見回し、不安そうな表情を浮かべた。
なるほど、大方グループのメンバーで遊んでいて動きまわってはぐれてしまった、といったところか。
90は少し考えてから、口を開いた。

「…グループのみんなとは仲良しか?」
「うん。みんなといるとすっごく楽しいよ!幼稚園のお友達といるよりも教室のみんなといるほうが楽しいもん!」
「そうか。じゃあレッスンも楽しいだろうな」
「うん!いつもね、教室に行くのが楽しみなんだ!」

子供のほうにも、やっと少し笑顔が出てきた。

「…お前、さっき俺がエレクトーンだって言ったろ。…エレクトーン、好きか?」
「うん!色んな音が出ておもしろいし、ペダルがいっぱいあってかっこいい!いつも教室でね、先生が大きなエレクトーンで…お兄ちゃんのエレクトーンで色々弾いてくれるんだ。かっこいいんだよ!いつか私もあれに座ってみたいな。先生みたいに、足を使ってかっこよく弾いてみたいなぁ!」

子供は夢中になって話す。
90は黙って子供の話を聞いていた。
子供が続ける。

「あ、でもね、うちにエレクトーンないんだ…普通のピアノしかなくて。いつか絶対、エレクトーン買ってもらうんだ。お兄ちゃんみたいな、おっきなエレクトーンがいいな!」

…この子、本当にエレクトーンが好きなんだな――そう確信した90は、ゆっくりと立ち上がりながら口を開いた。

「じゃあ、その大きなエレクトーンを弾きに、本番へ行こうか」
「えっ、でも、みんなどこにいるのか分からないよ…」

子供はメンバーとはぐれていた事を思い出し、少し泣きそうな表情を浮かべた。

「大丈夫だ。俺がつれていってやる。ほら」

90はそう言って、そっと手を差し出した。

「俺で――大きなエレクトーンで弾くのを楽しみにして来たんだろ。だから、泣くな。…行くぞ」

彼は力強く、そして優しく微笑んだ。
子供は涙を必死にこらえ、笑顔になって答えた。

「…っ、うん!」

こうして迷子の子供は90と一緒に無事グループメンバーの元へ戻ってきた。

「じゃあ、またあとでな。…本番、がんばれよ」

そう言って90は子供の頭をなでた。

「うん!」

子供は元気よく返事をした。
――さあ、発表会の始まりだ。

舞台袖で、90は子供達の演奏を見守った。
演奏のたびに、子供達それぞれの思いがびんびんと体に伝わってくる。
さて、あの迷子だった子供のグループの番だ。
子供は、今までで一番楽しく弾いているようだった。

「…幸せだな」

90は、目を閉じながらつぶやいた。



後書き


これまでの小説では弾き手がかなり出張っていましたが、やっとエレクトーンが主役っぽい話が書けました…^^;


発表会で使われたり教室で先生用としておかれたりする上位機種のエレクトーンって子供達とふれあう事が多いんじゃないかとふと思い立ち、それならその擬人化さんが発表会で迷子になった子とかの面倒をみるという事もあるかもしれない、と思いこの話を考えました。
発表会での迷子の面倒見というシチュエーションが思い浮かんだ時点で機種は90の兄貴で妄想していました。
なのでこれは90が最高機種だった時代の話になりますね。

このブログにも書きましたが、EL-90は小さい頃から教室で何度も見てきた思い入れのある機種です。
そんな90はやっぱり「兄貴」というイメージが強いなぁ…

途中の子供のセリフは、私が幼児科までお世話になった先生が弾いているところを思い浮かべて考えました^^
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