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Second Expression ―目指せ、エレクトーンマニア―

エレクトーン(特にELシリーズ&STAGEA)を(色んな方向から)愛してやまない管理人が、エレクトーンや音楽について色々と語っております。

小さなエレクトーンと問題児の話 1

某所に別名で投稿した「エレクトーン擬人化」の小説です。
※長いので、何回かに分けて投稿します
 
個人の勝手なイメージで「もしもエレクトーンが人間の姿をしていたら…」と考えたものであり、ヤマハ本社様及び関係者様とは一切関係ございません。


大丈夫!という方は、追記よりお楽しみいただければ幸いです…


*****



小さなエレクトーンと問題児の話


とある小学校での朝。
4年生のクラスの教室では朝の会をやっている。
朝の挨拶をちょうど終えたところで、1人の女子児童が無言で教室に入ってきた。

「あっ、ちょっと!また遅れてきて…いつも教室には早めに来てなさいって言ってるでしょ!」

担任の教師がとげとげしく注意する。

「…うるせーな」

女子児童は小声でつぶやいた。

「ちょっと、今何て言った?朝の挨拶もしないで!」

どんなに小声でも、担任は聞きのがさない。

「…はざす」
「もっとはっきり大きな声で!」
「オハヨウゴザイマース」

女子児童はわざとらしく大きく口をあけて言ってやった。
そして、乱暴に自分の席に座った。

彼女は学校が大嫌いだ。
クラスメートとも教師ともうまくいかない上、校則も厳しい。
成績がよく教師を敬う者――学校にとって都合のよい者だけが優遇される、まるで軍隊のような校風が彼女はとてもいやだった。
この学校は、児童を人間として扱っていないのだ。
勉強が大嫌いな彼女は、当然学校から優しくされた事なんてなかった。

――そんな彼女の特技は、エレクトーンを弾く事だった。


ある日の音楽の授業の時間。
合奏の準備をするために譜面台を取りにいく途中、彼女はあるものが目に入った。
黒づくめでペダルがある、エレクトーンらしきキーボードだ。
でも、それはエレクトーンとは思えないほど小さかった。
彼女は気になったが、ふたをしてあったため、どんなものかはよく見えなかった。
1人の男子児童とぶつかった。

「おい、何ぼーっとしてんだよ!さっさと準備しろよな!」
「うるせーよ!今からしようと思ってるんですー」

彼女は言い返し、準備を進めた。

放課後。
彼女はさっさと家に帰りたかったが、やはりあのエレクトーンの事が気になり、音楽室まで来てしまった。
電気のついていない部屋に1人で入り、あの小さなエレクトーンの前に立つ。

「…あんた、エレクトーン…だよな?…見かけないエレクトーンだなぁ」

そっとふたをあけ、電源を入れる。

「初めまして!」

後ろから声がした。
彼女が振り向くと、そこには黒いシャツに茶色いズボンの青年がいた。

「あー、ここで電源入れてもらえるの久しぶりだから嬉しいなぁ!」

青年は体を伸ばしながら言った。

「あ、あんた、もしかしてこのエレクトーン…?」

彼女が少々びっくりした様子で聞くと、青年は答えた。

「あ、ごめんごめん、挨拶が遅れたね。僕はEL-17っていうんだ。君、もしかしてエレクトーンやってるの?」
「うん、そうだけど…」

パネルの左下を見ると、確かにEL-17と書いてある。
彼女はそのEL-17のパネルをまじまじと見つめた。

「何?どうしたの?」

彼女の様子を見て、17が尋ねた。

「…あんた、本当にエレクトーンなの?」
「へっ!?」

彼女の言葉に、17は拍子抜けした声を出した。

「だってこんなにちっこいし、ディスプレイもMDRもねぇし、つーかその前にレジストメモリーがねぇじゃん!こんなの使えねーよ!!」
「し、失礼だなぁ、僕だってちゃんとしたエレクトーンだよぉ!小さな子のための機種だからシンプルなんだもん、しょうがないじゃん!」
「はぁ!?お子様向けの機種がなんで小学校にあるんだよ!音楽室が使えるのは4年以上なんだけど。せめてEL-400だろ、小学校におくなら!」

彼女は生意気に言った。

「…君、家では何の機種使ってるの?」
「EL-500だよ。すげーいい相棒なんだ」

これは500の勝気な性格が彼女にも少し移っているのか。
17はそんな事を考えながら黙った。
彼女が続ける。

「この学校校則はくそ厳しいくせに金はねーのか、だからこんな下っ端の機種しか買えなかったんだな。大体この学校でエレクトーン弾く奴なんてそうそういるか?どうせ合奏のキーボードの1つくらいの気持ちで買ったんだろ。だったらエレクトーン買わねーで普通のキーボード買えって話だよ!エレクトーンなめてんじゃねぇ!」

彼女が一しきりこぼすと、少しの間沈黙が流れた。
やがて、17が恐る恐る尋ねた。

「…学校、嫌いなの?」
「ああ、大っ嫌いだ。クラスの奴らとも先生ともうまくいかねぇし、校則も厳しいしな。本当は行きたくねーけど学区域だからってむりやり行かされてるだけだ。勉強もできないうちなんてこの学校にはいらねー存在なんだよ。教室のすみっこのごみと一緒だよな」
「そんな事ないよ」

17が彼女の言葉をさえぎった。

「僕は、君が必要だよ。…弾き手として、君が必要だよ!」

学校でそんな事を言われた事がない彼女は、少し驚いたように目を見開き黙った。
また、17が口を開く。

「ねぇ、僕で何か弾いてみてよ」
「えー、でも見つかったところで教師どもが黙っちゃいねぇぜ?」

本当は勝手に音楽室などに入ったり楽器をさわったりしてはいけない。
許可が必要なのだ。

「大丈夫。先生方には、僕から言っておくから!」

17はそう言って、職員室のほうに行ってしまった。

「あっおい…!」

1人取り残された彼女は、再び本体のパネルをじっと見つめた。

(本当に…こんなエレクトーンで何か弾けるのか…?)

しばらくして、17が戻ってきた。

「おまたせ!じゃ、早速何か弾いてみて!」

17は音楽室の電気をつけながら言った。

「う、うん…」

彼女はEL-17本体のいすに座って音色を適当に設定し、弾きはじめた。
合うリズムがないため、仕方なくリズムなしで弾く。
やがて彼女が弾きおえると、早速17が聞いた。

「どう?どうだった?」
「ださ!だっさ!!こんなのでやってられるかよ!!」
「ちょ、もう、ひどいなぁ…」

彼女が不平を言うと、17は困ったように苦笑した。

「こんなの、人には聴かせらんねぇ…」

彼女が頭を抱えるように言うと、

「そんな事ないよ!」

また、17が切り出した。

「充分、曲としてまとまってると思うよ!そりゃ確かにリズムもA.B.C.もないけど…でも、鍵盤が3段あるってだけですごい事じゃん!3つの鍵盤があるって、エレクトーンの一番の強みだと僕は思うんだ」

確かに、右手、左手、ベースの3つの鍵盤があるのは便利だ。
メロディーも和音もベースも全て1人で奏でられてしまうのだから。
当たり前になりすぎていて、忘れかけていた。

「ねぇ、これから時々僕を弾きにきてよ。休み時間とか放課後とか、好きな時でいいからさ。あ、もちろん先生方には僕から言っておくから大丈夫!」
「…まぁ、あんたがそう言うなら…」



※2へ続きます…

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